伝統的な七夕といまの七夕の違いとは?
ぬくもり工房の七夕飾り
静岡県浜松市には、織姫様が祀られている初生衣神社があります。
遠州織物の聖地として、繊維産業に関わる方や地域の方が大切にしてきた神社です。
織姫様が眠る街だからこそ、七夕の行事を大切にしたいと考え、当店では毎年、新暦の七夕の時分に笹竹(造花)を店内に設置しています。
短冊には、スタッフやお取引先様、お客様や近所の子どもたちに”願いごと”を書いてもらいます。
その”願いごと”は、書いて終わりではなく、初生衣神社さんの年中行事「棚機祭」に納め、「皆さんの願いごとが叶いますように」との思いを込めて、織姫様にお届けしています。
七夕の節句
日本では、季節の節目にあたる日を節句と言います。
節句の日には、豊作・無病息災や子孫繁栄などを願い、お供え物や邪気払いをします。
1月7日 人日(じんじつ)の節句
3月3日 上巳の(じょうし)節句
5月5日 端午(たんご)の節句
7月7日 七夕(しちせき)の節句
9月9日 重陽(ちょうよう)の節句
旧暦の七夕と新暦の七夕
現在使われいる新暦(西洋暦)は、太陽の動きを基準とするため1年は365日です。
旧暦(和暦)では暦(こよみ)を、月の動きに合わせていたため1年が354日でした。
七夕の節句は、新暦の7月7日として制定されていますが、国立天文台が提唱する「伝統的七夕」は旧暦の7月7日としており、その日付は毎年違います。
初生衣神社では、年中行事の一つ「棚機祭」を旧暦の七夕に行っています。
織姫と彦星の伝説
こと座のベガ(織女星)は裁縫の仕事、わし座のアルタイル(彦星)は農業の仕事をつかさどる星とされていました。
2つの星は旧暦の7月7日に、天の川をはさんで最も光り輝く(の様に見える)ことから、中国ではこの日を1年に一度だけ会うことを許されている日ととらえ、七夕の伝説が生まれました。
中国では、この織女星にあやかり裁縫が上達するよう願いを込め、針や糸などの裁縫道具をお供えして祈る風習を乞巧奠(キコウデン)といいます。
平安時代、この伝説と風習が日本に伝わり、日本古来の棚機(たなばた)という神事と結びついたのが、現在の七夕となります。
日本古来の棚機は、女性が着物を織って棚に供え、神様を迎えて秋の豊作を祈り、人々のけがれを祓う行事でした。
この行事に選ばれた女性は、棚機女(たなばたつめ)と呼ばれ、清い水辺にある機織り小屋で、神様のために着物を織ります。その時に使われたのが「棚機」という織機です。
江戸時代には七夕行事は五節句の一つとなり、全国的に行われるようになりました。
人々はお供え物と共に、詩歌や習いごとの上達を願います。
各々、短冊に色々な願い事を書いて笹竹につるし、星に祈るお祭りとなっていきました。
星に願いを
七夕は別名「笹の節句」とも呼ばれています。
笹は生命力があり成長が早く、また中が空洞になっていて神様が宿る木と考えられています。
笹竹は天に向かってまっすぐに伸びていく事から、願いが星に届きますようにという意味を込めて、短冊や七夕飾りをするようになりました。